Motion Pix
「なっ、なんだこれは!」
「なっ、なんて小さいんだ!」
「え!、うそ?」
「ホントに?」 「マジで?」
「110gだと!うっそー、信じられない!」
「3時間録画で静止画310万画素だと!」
「19800円だって? ふざけんな!」
とにかく驚きの連続で、しばらくは呆然としていた。
このスペックを見ていただければわかるように、とにかくこのサイズ、この重さ、この仕様、この機能で19800円という価格だ。
インターネットであれこれ調べたけれど、まだ発売まもなくほとんど情報がない。ネット通販では入荷待ちが多く、あせる気持を抑えて、ヨドバシの在庫を確認し、これから展示しようとしていた最後の1個を何とか手に入れた。
購入して間もないが、さっそく日常生活やら、ツーリングへ持ち出し、あれこれと使ってみた。
まずはじめに注意すべきことは、これはいわゆる一般のビデオカメラと比較するべきモノではないということだ。
このMotion
Pix は、ある目的を持った、そして低価格の機能を知った上で、割り切って使うムービーカメラだということだ。
10万円以上するCCD搭載の、光学ズーム機と比較されてはまったく歯が立たないのは目に見えている。
液晶もTFTとはいえ小さいし、画像もTVで見るにはかなり苦しい。
要するに、こいつは初めて買うムービーカメラではなく、2台目、サブカメラといった用途で使うべきものだということだ。
このことを理解しないと、かならず買った後で後悔することになる。
確かに本体は低価格だが、256Mのメモリーを買い足せばすぐに3万円近くになってしまう。
であれば、最近の動画デジカメを買ったほうがいい場合も十分に考えられる。であるから、もし食指が動いた人は、そこのところをよーく考えて、自分のニーズに本当に合っているか見極めたほうがいい。
私の場合には、そのニーズが見事に当てはまってしまった。
こいつを使う最大の目的は、ハンドルバーへ装着し、「ダウンヒルの映像を手軽に撮る」ということだ。
その昔は、8mmカメラをツーリングに持っていったのを始まりに、VHS-C、8MM、DVCといろいろとムービーカメラを持っていった。
1Kg近いカメラもあったが、次第に小さく軽くもなってきた。しかし、それでもやはりフロントバッグの大部分を占領する、とてつもなく大きな荷物だった。
それが、こんなに小さく、軽くなって現れたのであるから、自分にとっては夢が現実になったようなものである。
ダウンヒルの映像を撮ろうとカメラで追う時、片手ではコーナリングできない。モニターがなければどんな映像が撮れたかさっぱりわからない。精密機械だから壊れやしないかと心配だ・・
そんな心配をこいつはすべて解消してくれる。ミニ三脚をハンドルに巻きつければダウンヒルの映像を見事に撮る事ができる。
13fpsという多少間引いたフレームレートが、ハンドルからの振動を適当に減衰させてくれて、激しい山道下りでも、それほど違和感なく見ることができる。またモーター部分がないから、振動が激しくても心配ない。
ただしこのカメラ、不満がないわけではない。低価格の割り切って使うカメラとは言え、あえていくつかの不満をあげてみたい。
1.「メモリー残量がわからない」 いい気になって撮っていると、突然 メモリーが一杯になり、「えっ、もう撮れないの」となってしまう。
2.「動画撮影中にズームができない」 ズーミングを使った動画撮影ができないのは、なんとも悔しい。
3.「暗さに弱い」 ちょっと暗い室内、夕方など、自分の目には写るものでも、光源がないと画面は真っ暗である。
4.「起動時間が遅い」 電源ONからまともな映像がとれるまでに5秒程度かかる。特に明るさの変化には弱く、露出がすぐに合わない。
5.日付、時間が記録されない。ファイルの日付は常に2001/1/1
1:01と記録される。こりゃ何とかならないんですかネ。
とまあ、贅沢な要求をあげてみたが、この価格では無理もないだろう。しかし、こんな不満も、気にならないほどの魅力を秘めたカメラであることは間違いない。
「いつでも、どこでも」ポケットに入れておけるムービーカメラの登場は、これまで決して撮ることができなかったシーンを残すことができるようになる。どんな使い方をするかは、アイデア次第だ。(2003/4)